日常を語ったり、読んだ書物を語ったり、ぼちぼち文を書いたりして遊ぶ現実逃避ブログ。頭は中学二年生で止まってます。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨
春は夢。桜は幻。
2009-05-10 Sun 16:28
札幌は早くも桜が散っている。あっというまでした。
短編小説です。桜の幻想話をしたかっただけ。出来?中二ですよ。途方もなく下手です。クハハ!
では追記にて。







 春とは夢だ。冬で眠りについて、沈んで、沈んで、桜の蕾が開いた時に私たちは夢見る。暖かな日だまりと花々の無言の謳歌。それはとても優しい世界。...まるで幻のようで。だから私は呟いたのだ。「これは夢なのよ」と。
「何故」
 私の言葉に隣の彼は問うた。それと同時にばっと溢れる、桜吹雪。薄桃色の洪水だ。視界が桜に蝕まれ、侵されてゆく。狂ったような桜の乱舞。あたりは不思議と静かだった。風による樹々のざわめきと、たまに小さく聴こえる春の鳥の唄。それはまるで異国の様。
「あまりに現実味がないから」
 都会にも、公園にも、山の中でもあり得ないような景色。しかしどこの国のものとも言えない。きっと、ここは別の世界なのだろう。桜の元は異界なのだ。
 春の空。たゆたう雲。途方も無く遠い。嗚呼、私たちは知らぬ世界に来てしまった。
 ほう、と溜め息を吐いて彼を見やる。黒い髪。静謐な横顔。肌の白さといい、細さといい、病んでいるような印象を受ける体躯。その背景には桜の木立。あまりに映えていた。絵にして売ったら称賛を受けそうなほど美しい。
 そんな姿がこの世のものではないように思えて、私は思わず口走る。
「古い言い伝えであるよね。桜の下には死体があるって」
「君はこんな綺麗な光景の中でそんな物騒なことを言うのか」
 呆れたように彼は私を見やる。
「ちがう。桜があまりに綺麗だから、きっと昔の誰かが言ったのよ。”まるで人を喰ったかのように美しい”って意味で。桜はこの世のものじゃないように思えるから」
 その言葉に彼は感慨を受けたような、でもどこか思い詰めたような顔で、ゆっくりと頷いた。
「...なるほど。...そうか。この樹々は人を喰ろうたのか。」
 ふ、と長い睫毛が伏せられ、彼は口を開く。

 「桜。」

 風が吹く。それは樹々と、私と彼の髪を揺らす。風がすべての音を吹き消したかのようにあたりは静まった。鳥の声も.そよ風のざわめきも。
「お前たちは人を喰い、その血を薄めてこの美しい色を創ったのか。その美しい色を散り振りまいて、人々を魅せるのか。」
 ぞわり、と身の毛がよだった。怖いのではない。何故か、途方もなく...美しかった。彼は、悪魔と契約する男のようであり、亡霊のようでもあったから。禁忌の雰囲気。魔物の雰囲気。幽かな雰囲気。彼は、幽明の境の者。
「...桜よ、お前は美しい。だから私を喰え。骨の髄までその根で吸い尽くせ。そして私の赤い血を一滴残らず吸い上げ、花弁を染めて美しい花を咲かせてくれ。散る時がきたら散らしてくれていい。私はそれがいいのだから。...春日の夢桜」
 ひときわ大きく、樹々がざわめいた。
 知っている。たまたま風が吹いたにすぎない。だが、私には樹々がその言葉に呼応したように錯覚した。あまりに美しく、妖しく艶やかに、そして儚い花を咲かす桜の樹。樹々は彼の願いを聞き届けたのだろうか。その顛末はどんなものになるとしても、この今、私達は夢幻のしじまの元に息づいている。



春は夢。桜は幻。


スポンサーサイト
別窓 | 短編小説 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<音楽について語り尽くす | Lease Drama | リンク説明2。>>
この記事のコメント
∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
∧top | under∨
| Lease Drama |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。