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 日常を語ったり、読んだ書物を語ったり、ぼちぼち文を書いたりして遊ぶ現実逃避ブログ。頭は中学二年生で止まってます。
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swansong 一話
2009-08-12 Wed 17:15
 今日もこれたよ祖父母の会社。奇跡。テンプレ変えてみたんだぜ。

 やってきましたスワンソング。空いた時間に携帯のメール欄でぽちぽち打ってました。終わり方があれなのは急いでキーボードで打ったから。ディーヴァかヴァイオリニストかは曖昧に。(ディーヴァに傾きつつある)

 そのうち下げるかもしれない。我ながら...なんかなぁ。とりあえずスランプ脱出策。

 生温かい目で見守って下さいませ。ピアノだなんて知らない癖に、バーだなんてよくわかってない癖に、いろいろ書き連ねてるので文句言われかねないのです。土下座。


白鳥の話をしよう。

 *

 囁き声。

 何を囁くのだろう。内緒話?愛の囁き?別れの言葉? 

 ブラウは振り返る。空は夕焼け。大通りの夕の市場にて、夕食を作るべく食材を買い求めていた最中であった。普段はあまり行かない通りの市場に来て、普段あまり使わない香辛料でも買おうとしていた。
暗くならないうちに帰らなければ。
食材に目を向け直し、買い物に戻ろうにも、その声が頭からその音が離れない。何故だろう。他人の声だろうに。しかしその声がどこからか続いている。そして心をかき乱す。買い物をすぐに切り上げ、そして金を払って音源を探した。

 街の喧噪の中、途方もない言葉が渦巻くさなかで、自分の耳を惹いたその音を確かめたかった。辺りを見回しながら、音の導くままに、何かに憑かれたかのように歩を進める。彼女は夢中だった。細い細い囁きが、近づいて行くたびに鮮明になっていく。

 たどり着いたのはバーの入り口だった。地下に有るらしい。階段を見下ろすと夕日と控えめなライトアップを受けた、テキサスの酒場にでもありそうな手押しの扉があった。囁きはここから漏れている。階段を下りて、扉の前に立つ。中は見えないが、足元から漂う酒の香りと、人の気配が濃い。ゆっくりと扉を押し開けた。

 開くと中には席が満員のテーブル。かろうじで空きのあるカウンター。客の目線は全て酒場の中央の壇の上へ向けられている。そこに立つのは、流れているのは、

  黒いピアニストの紡ぐ旋律。

 ピアノの前に座っているのは男だった。背を向けているから顔まで解らないが、若いのだと思う。彼が紡いでいるのは、囁きと聴きまごうた微かな音色。囁くような、しかし決して音が小さい訳の無い。明確だが曖昧に、小さくとも良く透る、音。
 美しいとも綺麗とも、そう思うよりもまず切ない。何故だか解らない。その音は澄んでいて、そのまま空へと昇っていきそうなイメージを持たせていた。囁きを思わせた旋律は、何を呟いているのだろう。聴き取れない。でも、それはきっと悲しいのだ。悲しみを囁いている。寂寥。誰かを失った訳ではない。でも、胸を引き裂かれるように、悲しい。
 そのまま滑るように、しかし確実に昇り詰めて、曲のブリッジにさしかかった。
 悲しみが雪崩れる。決して感情的でない。だがその澄んだ悲しみの音がが、空へと昇る。果てない空へと囁きを放って、誰かを呼んでいる。何かを伝えようとしている。そんなことしたって伝えれないことは承知で、でも、それでも伝えようとしている。届け、届けと。全てを繋ぐ空の下、そこに居る誰かへと。
 その切なさ。
  焦がれてしまう。惹かれてしまう。胸を掻き乱され、無性に愛しい。
 ここに居る観客もそれを感じているのだろうか。
 やがて静かに鳴る、終局のサスペンデットコード。沈黙。
 数泊のの沈黙の後、ぽつりぽつりとなる拍手。それがすぐに割れんばかりの大拍手と歓声と化した。
 賞賛が舞う中、ブラウはしばらく呆然とした。今まで耳を通してきた曲の中で、こんなに曲など今あっただろうか?

 無性に胸が痛くなり、頬に涙が伝う曲など。

 ピアニストが椅子から立ち、礼をする。更なる大拍手。自然と手が動いて、気づくとブラウも手を叩いていた。
 彼が壇上からおりると、堰を切ったように人々が寄り集まる。
「今日も凄かったな!」「ありがとうございます」「明日も聴かせてくれよ」「ええ勿論」
 客達が次々と演奏への賛辞を贈る。それを気さくな笑みで笑いながら、男は丁寧に応じる。誰からも好かれるような人柄なのだろう。それを傍目に眺めながら、カウンターでグラスを拭くマスターへと足を運ぶ。
「凄いのね、あの人」
 そう声をかけたら、年配のその男は微笑んだ。
「おかげで繁盛してる」
 そしてそのまま男はピアニストに声をかけた。
「おい、ヴァイス。このお嬢さんがあんたのピアノに惚れたらしいぜ」
 その言葉にピアニストはこちらを振り向き、客達から離れて歩み寄ってきた。
 近くで見ると、まだ若い男である。見た目は優男とも言えるだろう。何故か服から靴まで全て黒い。目、髪も黒いから正真正銘の黒ずくめだ。
「やぁ、こんな綺麗なフロイラインが、地下の寂れた酒場に何の用?」
 表情がどこかぎこちない。新参者がいきなり話しかけるのもいけなかっただろうか。
「何処の酒場が寂れているんだ?」ピアニストの言葉にマスターが片眉をあげながら、しかし面白そうにで横槍を入れる。
それにピアニストは顔をひきつらせた。
「るせぇよ。俺が居ないといつもすかすかじゃないか」
「違う。店のラッシュアワーにお前を雇ってるからだ。真っ昼間にやったらきっとガラガラだぞ」
「いいから、話させろよ。この人も物怖じしてる」
 そう言って、マスターを追い払うような仕草をした。その慣れ慣れしさからして、長年のよしみなのだろうか。
「わかったわかった。若い奴は若い奴らだけで盛り上がってろ」
 男の仕草をまね仕返して、マスターは笑った。


「さっきの曲ってオリジナルなの?」
 カウンターの席に腰掛けて、真っ先にブラウは尋ねる。
「ああ。」
「タイトルは?」
「『ブルー・スカイ』」
 やはりと思わず納得する。イメージと合致していた。
「このバーで雇われてるの?」
「ああ。毎晩この時間帯にいつも弾いてる。」
「ピアノっていつから弾いてるの?」
「幼い頃から。物心ついた頃にはとうに弾いてたな」
「凄い長のね」
 そこからぽつぽつ互いに質問し合う。どれも音楽についての内容である。作曲家は誰が好き?誰の演奏が好き?ショパンはよく弾くの?好きな曲は?

「ところで貴方の名前、なんて言うの?」

 ふと思いついて訊いてみた。よくよく考えれば互いに名も知らない。というか、ブラウの知るこの男の情報は『音楽家・ピアニスト』という事のみなのだと今更気づいた。『シューベルトが好き』『ベートーベンも好き』あと『男』『黒が好き?』。

 男はちょっと笑って、名を紡ぐ。

「ヴァイス」

 ヴァイス、白。色の名前。
 あら、と声を上げた。彼の名が変なのではない。偶然の一致からである。

「白?奇遇ね。私は、」
「ブラウ(青)、だろ?」

 瞠目した。確かに自分の名だった。いつ知った?これが初対面のはずで、しかも店内に知り合いなぞいないのに。

「...なんで?」

 思わず尋ねる。

「何故か?それはあんたの瞳が綺麗な青だからだよ」

 そう微かな笑みを浮かべた黒服の男。時計をちらりと見て、立ち上がる。

「そろそろ御暇させてもらおうかな」

 タイミングが良すぎる。逃げたいのか、もったいぶらせてるのか。
 「またいつか」と言うその背に、逃してやるものかと声をかける。

「そのとき答えて」
「え?」

 男は振り返った。

「私の名前を知ってる理由。目が青い人なんてこの店内にもたくさんいるわ。次に会ったらちゃんと理由を述べて」
「いや...なんてことない話なんだ。聞いたら呆れて笑うかもしれない」
「そう。なら楽しみにしてるわ。それじゃあね」
「ああ」

 男の黒い背はテキサスのドアへと吸い込まれていった。客はおのおの、ビールを飲んだりと楽しげである。
 すっかり遅くなってしまった。時計の時刻は夕食時には程遠い夜。足元には買い物袋。はてどうしよう。

「マスター、ブラートヴルストお願い」

 メニューをさっと目を通して言う。軽食も取り扱っているところでよかった。カウンターへと声をかけると、忙しそうな店主が大きな声で返事をした。
 さて、何故あのピアニストは私を知っていたのか。そしていつまたここに来ようか。

 賑わう店の中、一人物思いに耽る。

  *

 空は、近くて遠い。

 飛べるだろうか、辿り着けるだろうか。

 あの愛おしい青い世界へ。

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この記事のコメント
待ってたんだぜ。
いいよねかっこいいね。
というかロゼリラさんは文章が綺麗なのであこがれます。
音でいうと、低音でも濁らないと言ったらいいの、か、な…?(ごめん、言い表せない)

テンプレ新しいのいいね!
コメントなんかに負けるな~。
それじゃあまた来ます。
2009-08-12 Wed 20:18 | URL | 青おにび #-[ 内容変更]
何 が ス ラ ン プ で す か
何なんだよこなやろぅ。素晴らしいです。

コメント、、、すいませんいじくって遊んでました。
赦して。軽く面白がっていたね、うん。最低。
そんなコメする奴らもだけれどね。

「釧路のアトリエ・英会話行きたい」
おいで?ラスト数日来るが良い。
ただし避暑地は蒸し暑いのであしからず。

それでは。
2009-08-13 Thu 11:23 | URL | 笛吹き #/HKLsajk[ 内容変更]
流石です。貴女の文はカッコいい。憧れます。
スランプ?嘘でしょう。貴女がスランプなら
ウチはどうなる。
テンプレもより大人っぽくなって、貴女にぴったりな気がしますです。
それでは(^0^)/
2009-08-13 Thu 14:31 | URL | 桜夜 #-[ 内容変更]
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