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 日常を語ったり、読んだ書物を語ったり、ぼちぼち文を書いたりして遊ぶ現実逃避ブログ。頭は中学二年生で止まってます。
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夜市奇譚2
2009-11-15 Sun 22:19
 うにょん。



 目前に急接近する地面。
 地上5メートル程から地面へと逆さまに落ちる。反射的に受け身をとった。着地。衝撃はあるが、落ちた先が茂みだったことが幸いしてたいした痛みはなかった。
「…ここは?」
 転がったまま、首をもたげて周囲を見た。確かに夜の森だ。空はどこまでも黒く、月も星もない。鬱蒼とした闇の森。その所々の木々にはぽつぽつ提灯が下げられ、夜道を怪しく照らしていた。
 不気味な所へ迷い込んでしまった。ヘンゼルとグレーテルのように魔女の家へ知らず知らずに進んでいくような、気分が良くならないこの感じ。
 とりあえず立ち上がろうとする。と、鈍い痛みが背中を刺し、少し呻く。
「…リーラさん…」
 女の名を呟いた。呪詛を込めて。先刻背中を思いきり、その女に蹴り飛ばされたのだ。

『夜市には人生で三度までしか行けないという規約があってね。私はもう二度も行ってしまった』
 夜市とやらに繋がる穴を創り、そこへ潜る直前になって女は言った。
『だから、私は自分の機会を伸ばしておきたい。』
 そう言って、女は自分が持っていた、見るからに重そうな袋を肩掛け鞄に突っ込んで、それを少年に押し付ける。
『という事でローズ、君だけで行ってこい。私への土産も忘れるなよ』
 そして女は目を見開いた少年を穴へ蹴り落とした。そしてこの森の湿った地面へ落ちるに至る。

 ああ、なんて乱暴で横暴な女なのだ。そう憤りながら痛む背中をさする。しかも力加減が出来ない。
 溜め息を吐いて、持ち上げた鞄の重さに眉根を歪めつつ立ち上がった。このまま別の世界へと逃げて、とんずらしてやりたい気にもなったが、そうすればあの女は放っておいてはくれないだろう。だから、しない。それに自分にはあの女から離れがたい理由もある。だから、できない。
 視線を上げると樹々に吊るされた灯りが、誘うように奥へと明かりを投げかける。提灯が照らす先へ行けば、何かに辿り着くだろう。少年は歩き出す。


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